2011/02/02

書評『電通とリクルート』

つい最近読みました。

僕は読んでて結構衝撃だったので、
その気持ちを忘れないうちに書き留めておきます。
これ書いたら寝ます。





実は著者は博報堂OBの方です。
だからと言って、第3者的な視点であるかどうかはわかりませんが、
少なくとも客観的に2社を見ていると思います。


そもそも、タイトルは『電通とリクルート』となっており、
この2社の特性等について書いてありそうですが、実際は少し違います。

確かに、2社の成り立ちからこの本は始まります。
そして、どのように広告事業を進めて行ったのか、
全く異なる2つの企業を比較することで書き進めています。


しかし、広告が消費者の行動を作り出したのではなく、
消費者の行動の変化が広告を変えていったようです。


以前、広告を打てば商品が売れるという時代がありました。
この時代には消費者は迷うことなく示されるものをどんどんと買う時代でした。

大量消費の時代が過ぎ、市場が寡占となったバブル崩壊後、
消費者は「選択」の行動に出ました。
(もちろん、消費者だけではなく、動きの少なかった広告代理店も選択にさらされる時代です)

その結果、広告は所謂「誇大広告」で消費者を引きつけるのではなく、
現実味を帯びた、「ありそうな」広告を打つようになったのです。

その一方で、一部のテレビドラマでは、
「なさそうな」非現実的な話を展開しています。


このように、一見すると「賢い」消費者になったとも思えますが、
実際は広告が作り出す「幻想」の中で生活しているのが実態です。

「この商品は自分の意志で選択した」と頭では考えていても、
無意識に広告が作り出す「自分の意志による選択」を反映しているだけです。


話は少し飛んで、就活は上手くいったが「就職」には失敗した、
という話はよく聞くところです。
情報サイトや企業が打つイメージに左右されてしまった結果です。

「自分のやりたいことはこの仕事である」と、
一見自律して判断を行ったように見えますが、
実は、周りを取り巻く「幻想」をもとに判断しただけです。


僕自身、何となくこの「幻想」には気づいていました。
そして、「自分のやりたいこと」を自律して追い求めてきたつもりでした。

でも、実際に活字として示されると、ちょっとショックですね。


・「幻想」を無視して自分の判断を頼りにする
のか、
・「幻想」を考慮に入れて、判断をする
のか。

うーん、こっからが悩みどころです。
世の中をどう考えることが、自分にとって一番「豊か」なのか、
まだまだ考えが足りませんね。

あ、言っておきますけど、そんな落ち込んでる訳じゃないです。
現実に対して正面から向き合おうとしているだけです。



その他の書評等についてはブクログでも紹介していますので、
ぜひこちらも見て下さいね。

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